pipenv
pipenv は pip と venv の両方の機能を兼ね備えたサードパーティ製のパッケージ管理ツールです。venv で仮想環境を作成してから pip でパッケージをインストールするまでの手順では下記のように異なるコマンドを実行する必要がありますが、これを 1 つのコマンドで実行できるようにしたものが pipenv です。
| 操作 | コマンド (macOS, Linux) | コマンド (Windows) |
|---|---|---|
| 仮想環境の作成 | python -m venv .venv | py -m venv .venv |
| 仮想環境を有効にする | . .venv/bin/activate | .venv/Scripts/activate.bat |
| 仮想環境を無効にする | deactivate | .venv/Scripts/deactivate.bat |
| パッケージのインストール | pip3 install [name] | py -3 -m pip install [name] |
各操作に応じて実行するコマンドも異なれば OS ごとにも異なっており、とても複雑です。しかし pipenv を使うと上記の操作は次のようになります。
| 操作 | コマンド |
|---|---|
| 仮想環境の作成 | pipenv --three |
| 仮想環境を有効にする | pipenv shell |
| 仮想環境を無効にする | exit |
| パッケージのインストール | pipenv install [name] |
このように pipenv というコマンド 1 つで仮想環境の作成とパッケージのインストールの両方が実行できるため、操作がシンプルになります。また実行するコマンドは OS によらず同じです。
特徴
pipenv はパッケージのインストールを必ず仮想環境内で実行するように作られています。そのため仮想環境を有効にしていない状態で
$ pipenv install [name]
というコマンドを打っても自動的に仮想環境を作成して、それを有効にした上でパッケージのインストールを実行します。
インストール
pipenv のインストールは下記のようにします。
$ pip3 install pipenv
!!! note
pipenv のインストールは仮想環境内で行う必要はありません。なぜなら pipenv 自体が仮想環境を作成するツールだからです。
使い方
まず作業用ディレクトリを用意します。
$ mkdir sandbox
pipenv を使ってサードパーティライブラリの requests をインストールするには次のようにします。
$ cd sandbox
$ pipenv install requests
自動的に仮想環境が作成され、その仮想環境内に requests がインストールされます。次に requests を使用した次のようなソースコードを用意します。
main.py
#!/usr/bin/env python
import requests
def main():
response = requests.get('http://example.com')
print(response.text)
if __name__ == '__main__':
main()
ソースコードを作成したら仮想環境を有効にして実行してみます。
$ pipenv shell
(sandbox) $ python main.py
上記の 2 行のコマンドは次のように 1 行で実行することもできます。
$ pipenv run python main.py
pipenv run [command] は仮想環境を有効にした上で [command] を実行してくれる機能です。
Pipfile
pip にはインストールしたいパッケージをテキストファイルに記述しておく requirements.txt という仕組みがありましたが、pipenv はこれの代替として Pipfile というテキストファイルが使用できます。先程の requests をインストールするとディレクトリ内に Pipfile が作成されていると思います。
Pipfile
[[source]]
name = "pypi"
url = "https://pypi.org/simple"
verify_ssl = true
[dev-packages]
[packages]
requests = "*"
[requires]
python_version = "3.7"
pipenv はパッケージをインストールすると Pipfile にインストールしたパッケージを記録するようになっています。もしディレクトリ内に Pipfile がある場合、下記のコマンドを実行すると Pipfile 内に記述されたパッケージをインストールしてくれます。
$ pipenv install
つまり Pipfile をバージョン管理しておくことで他の人の環境でも自分がインストールしたパッケージと同じものをインストールできるようになります。
Pipfile.lock
Pipfile と合わせて Pipfile.lock というファイルも作成されていると思います。このファイルはインストールしたパッケージのバージョンを保存しているファイルです。pipenv install でパッケージをインストールすると、インストールされるパッケージのバージョンはその時点での最新版が取得されるようになっているため、自分がインストールしたパッケージのバージョンとは厳密には異なるバージョンのパッケージが他の人の環境にインストールされる可能性があります。もしバージョンも含めて完全に一致するものをインストールしたい場合は Pipfile の代わりに Pipfile.lock を使ってインストールすることで実現できます。
Pipfile.lock を使ってインストールするには次のようにします。
$ pipenv sync
公式サイト
pipenv はここで説明した機能以外にも便利な機能がたくさんあります。詳細は公式サイトに説明がありますので参考にしてみてください。
!!! note "pipenv 公式サイト" https://pipenv.readthedocs.io/en/latest/